![]() |
|
Welcome to Kazu Music Japan. | |
![]() |
|
嬉しそうな園長先生 | |
![]() |
|
![]() |
群馬の保育園で講演した時のことです。 講演が終わって親たちも帰り、ホッとして、園長先生と職員室で話をしていました。その時、1人の母親から電話がかかってきました。 子どもが家で泣き止みません。担任のN先生に会いたい、と言って泣いているというのです。その日は土曜日、さっきまで園にいたN先生はもう帰宅の途についています。園長先生は先生の自宅に電話しますが、誰も電話に出ません。 「困ったわねえ」と言いながら園長先生はニコニコしています。 そして、「私は恵まれています。いい保母さんたちに囲まれて」と、主任さんに電話して、N先生を探します。しばらくしてN先生から電話が入ります。主任さんは先生たちの携帯の番号を知っています。園長先生は知らないそうです。それくらいがいいのだそうです。 園長先生はN先生に事情を説明しながら、「あんたも保育者冥利につきるねえ。よかったねえ。はやく電話してあげなさい」と電話口で言います。 「昔は、お母さんに会いたいと言って保育園で泣く子はいたけど、先生に会いたいと言って、子どもが家で泣くんだから、ちょっとおかしなことになっているんです。それでもやっぱり園長としては嬉しいです」 勤務時間は終わっているのに、泣いている子どもの気持ちに応えようと、ためらいなく担任の先生を探す園長先生。保育士一人ひとりとの人間関係がちゃんと作れているから出来ること。保育というシステムの中で生きているのではなく、人間同士の、家族にも似た対応に私は感心しました。 園長先生はもう74歳。 私に、「最近の親たちはどう対応して良いかわからないことが多くて・・・。昔だったらもっとはっきりものが言えたんだけど、近頃ちょっと自信がなくなっているんです。園舎を建て替えたらくたびれてしまって」とさっきから職員室で1時間も愚痴をこぼされていたんです。 その人が、一本の電話で急に生き返ったように、ニコニコしながら対応しています。 こんな感じでいいんだな、と思いました。 泣いていた子は、インフルエンザでここ三日ほど保育園を休んでいたそうです。きっと、先生と保育園が恋しくなったのでしょう。 |
![]() |
|
(C) Kazu Music Japan 2008 |